Authors : |
野々山明*, 板野竜光*, 滝本良二*, 宮本勇*, 勝田宏重*, 小谷澄夫*, 香川輝正*, 中村健**, 前田東作** |
Abstract : |
私たちは最近肺動静脈瘻の稀有なる異型とみなされる肺動脈左房間の直接交通症の1例を経験したので報告する. 症例 北○継○ 22才男 家族歴に特記すべきものはなく, 遺伝的血管異常と思われるものは認められない. 患者は小学5年の時に学校検診で心疾患を指摘され, その頃よりチアーゼに気付くようになり, 運動時呼吸困難をみるようになつている. 中学2年の頃より太鼓撥伏指に気付くようになつた. その頃より時々血痰があり5年間程続いていたが, 昭和38年2月喀血し, 肺結核として同年3月長尾病院に入院し, 抗結核療法を受けるようになつた. 昭和36年末より時々頭痛, 眩暈があつたが短時問で軽快していた. しかし, 痙攣, 四肢の疼痛, 腫脹等を来したことはない. 治療は約2年間続けられたが, 右下肺野の異常陰影に変化なく, 40年7月30日, この胸部X線陰影とチアノーゼを主訴として当科に入院した. 入院時所見:体格, 栄養中等度, 脈搏82, 整, 血圧, 上肢120/80, 下肢145/90mmHgで左右差はない. |