Abstract : |
「第1章 緒論」近年胸部外科手術々式および麻酔の進歩にともない気管および気管支再建に関する研究も長足の発展をとげた. しかし現在の所, 臨床的に全周または楔状切除後の端々または端側吻合, および比較的小範囲の窓状欠損の補填が比較的安全に実施されている1)~7)にすぎない段階である. 直接吻合は人間の場合, 頚部で4cm7)8), 胸部気管で1.2~3.5cm8)9)とされているため, したがつて更に長い範囲の全周欠損ではこれを何等かの方法で補填する必要がある. 従来この目的には自家移植, 同種または異種移植, 更に異物的形成による気道再建が種々行なわれて来た. これらのうち現在自家組織を移植する方法10)~12)が最も良い成績をあげているが, 支持物使用操作上難点があるとされ, 同種または異種組織片の応用では新鮮, 保存何れの移植片でもその実験成績は悲観的結果に終わつている. 一方異物的形成術(アロプラスチツク)による再建法に関しては材料入手の容易さもあり, これまで幾多の先駆的研究が試みられたにもかかわらず現在なお普遍化をみないのは, 上皮化の問題と関連して, 狭窄発生, 気道分泌物排除の困難性等が隘路となつている. |