Abstract : |
後天性三尖弁疾患は, 通常弁膜手術をうける必要のあるすべての患者の中で, 最も進行した, そして代謝面でも失調をきたしたものに起きる. ほとんど例外なしに, 常に重症の僧帽弁疾患と合併するし, 大部分はまた大動脈弁疾患とも合併する. その診断は間違えられやすく, 僧帽弁の手術中にこれに遭遇すると, その適切な処置についていくらかの問題がある. その問題点は右室不全による, 可逆性の機能的逆流を生じた患者の場合に考えられるものである. さらに三尖弁疾患を治療しないでおいたら, 僧帽弁や大動脈弁に向けられた外科的治療の結果を台なしにすることを結論するに十分な経験がある2)10)11)17). 三尖弁口交連裂開術(tricuspid commissurotomy)や弁輪形成術(annuloplasty)のような修復法は, ある種の症例では価値があるかも知れない6)18). けれども, ここに述べる31例の経験は, 明らかな三尖弁疾患患者の大部分においては, 短期または長期にわたつて適切な心機能を回復するためには, 三尖弁の逆流が必要であることをわれわれに納得させた. 実際, すべての異常を正すことにより達成された心仕事の一段の改善は, 他方では見込みのない問題を取扱うにあたつて成功するための決定的な要素を準備することになるだろう. |