Abstract : |
「第I章 緒言」肺癌の根治的療法の原則が切除療法である現在, その予後を良好ならしめるためにはいわゆる早期肺癌の摘発が絶対に必要であるが, この分野においては猶解決されない数々の問題が残されている. 特に, その診断面, すなわち, 早期肺癌の主核をなす末梢気管支原発のCoin lesionを呈するものと結核腫の鑑別診断に関しては, X線像, 細胞診等の面で多くの研究が行なわれているが, それでも確実な診断が得られない症例が少なくなく, 更により確実な診断方法の確立が要望されている. 一方, 早期肺癌の定義については内外ともに論議が尽きず, 未だ統一されていない. 著者は後述する如く臨床的早期肺癌に一定の規準を置いたが, その予後は必ずしも全例に永久治癒が得られていない. この事は癌腫自体の病理組織学的悪性度の問題が関与していることは必定である. 著者は以上の二大問題を中心に検討を加え, 診断面においては血管像からの解明を試みた結果, 撰択的肺動脈造影像ならびに気管支動脈造影像に於いて決定的な鑑別点を見出し, 又, 予後と組織悪性度の関係において若干の知見を得たので報告する. |