Abstract : |
「第1章 緒言」近年心臓血管外科の発展はめざましく, 現在では直視下心臓手術は飛躍的にその安全性を増し, 従来の盲目的心内手術に比較すれば, 確実性においても格段の相違が認められる. しかしこの成果はその補助的手段たる低体温法あるいは人工心肺装置による体外循環法の進歩に負う所が大きい. 人工心肺による体外循環の研究は, 1937年Gibbon20)により着手されて以来, 多数の研究者により基礎的研究が行なわれ, 1951年Dennis14)うによりLutenbacher's syndromeに対し初めて臨床に応用された. その後1954年Gibbon21)が心房中隔欠損症に対する最初の成功例を報告し以後続々と臨床例37)41)1)16)が発表された. . 一方, 人工心肺装置に対しても種々の改良が加えられ, 直視下心臓手術の輝かしい発展がみられるに至つた. 心血流遮断の1つの手段としての低体温法についてみれば, 1950年Bigelow7)8)が全身低体温法により心血流遮断を行ない, これを直視下心臓手術に応用し, 次いでLewis, Taufic39), Swan70)71)72), Bailey2)らが本法による臨床成功例を得て以来今日ひろく一般に普及している. |