Abstract : |
「I 緒言」慢性肺性心に関する研究は先ず病理学的研究に始まり, 1783年Senacにさかのぼる. 次いで1891年Romberg, 1892年August等により慢性肺疾患に右室障害が続発することが早くから指摘されていたのである. 1901年Ayerzaはチアノーゼのある右室障害をcardiacos negrosと名づけ, 1905年Escuerdoはこの患者に肺動脈硬化を認め, 1909年Martyは肺動脈硬化が右室障害を招来するという所謂Ayerza病の概念を発表するに至つた. 1935年McGinn&White1)がCor pulmonale肺性心と云う病名をはじめて記載し, 以後Griggs2), Scott3)4)等, 我国では三瀬5), 笹本6), 木村7)等8)9)の剖検, 臨床症状, 病因に関する詳細な報告が数多くある. 1941年Cournand&Richards10)により右心カテーテル法が完成されてより, 肺高血圧症が慢性肺疾患に合併し得ることが証明され, 右室障害は肺動脈の抵抗増加により肺動脈圧が上昇する結果, 右室の負荷が増大するために起ると考えるに至るZimmerman11), Cournand12), Dexter13)等の病態生理学的な立場からの業績がある. |