Abstract : |
「まえがき」肺結核症は両側の肺炎又は両側上野に病変を有するものが多く, 一側肺が荒壊肺であつて対側に何らの病変も有しない症例は極めて稀である. 従つて一側手術の場合にも対側病変が化学療法のみで癒るか, または外科手術を必要として両側手術になるかは対側病変のその後の経過によつて決り, 一側手術のみの場合にも対側病変の分析をなおざりにするわけにはいかない. このような観点もいれて以下両側手術の適応の検討を行なつた. 「1. 調査対象の種類と成績」 昭和20年より39年に至る20年間に保生園で行なた両側手術は171例に達した. その種類をA両側切除, B両側成形, C切除十成形, D成形十充填, E両側充填, F雑の6種類に分けた. その施行した年度は表1のように23年までは両側手術は僅かであるが, その後の2年毎の手術数は大体平均しており, 種類別の症例はA53例, B46例, C19例, D12例, E10例, F31例で, その綜合成績は成功86.5%, 死亡10%であつた. Fの雑というのは両側手術後再び何らかの手術を加えた再手術例で, たとえば両側充填がその後充填除去成形又は切除を行つたといいうようなものである. 以上の症例の各々の成績及びFの内訳を表2(a,b)に示す. |