Abstract : |
「第1章 緒言」 人工心肺装置による体外循環に関する研究はGibbon(1937年1))が酸素附加装置を使用して潅流実験を行つたのが初めで, 臨床への応用はDeniss(1951年21))により心房中隔欠損症にはじめて試みられ, ついでGibbon(1953年3))も心房中隔欠損症の手術に応用し成功した. 以来直視下心臓手術も人工心肺装置ならびに体外循環手技等の改良により近年めざましい進歩をとげた. 直視下心臓手術の例数が増加し先天性ならびに後天性心疾患の手術が毎日routineの手術として行なわれるようになつた現在, 装置内充填に大量の新鮮ヘパリン血を必要とする点が種々の理由, とくに供血者不足により血液確保が困難となつたため昨今問題となり, 血液を節減するなんらかの方法が望まれるようになつた. 充填血節減の方法としてCooley4)はdisposable oxygenatorを作成し, 榊原5)は独自の遠心型人工心肺装置を作成し充填には500~2500ccのヘパリ血で十分なように改良し, Zuhdi6)は簡単な気泡型酸素化装置に熱交換器を内臓し, 5%ブドウ糖のみを充填して体外循環を行う方法を考按するなど, 人工心肺装置の容積を減少し充填に必要な血液量の節減をはかつている. |