Abstract : |
「1. 緒言」手術施行に際して, よりよい状態を得んがために, 術前色々の処置がなされるように, 麻酔が行なわれる前にもPremedicationが必要であり, しかも適切なPremedicationが行なわれることは非常に重要なことである. Premedicationは諸種の目的を有するが, 中でも手術を受ける患者の苦痛と不安感は非常に大きなものであり, 精神的興奮により基礎代謝は上昇し, 被刺激性をも高める. 不安感の強い患者の麻酔は導入が困難であり, 色々の合併症も起し易い, この様な麻酔前の不安感を除去し, 精神的安静を得ることは, 患者にとって大きな恩恵であるばかりでなく, 麻酔を円滑に行なう上に重要なことであり, 近年, 麻酔の進歩とともに強く認識されて来たことである. このような目的のために, 従来使用されてきた薬剤は, Morphine, 合成の麻薬(Opystan, Pethilorfan), Belladonna-Alkaloid, Barbiturate特にPentobarbital(Ravona)であり, さらに近年Tranquilizer, 特にPhenothiazine系の自律神経遮断剤及び安定剤としてChlordiazepoxide(Contol)等が使用されてきたが, これらの薬剤である程度の目的は達成出来ても, 同時に副作用の多いことが問題となつている. |