アブストラクト(16巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 稀釈体外循環下開心術前後の血行動態と稀釈液の効果-特にGelatin修飾液(Haemaccel(R))を中心に-
Subtitle : 原著
Authors : 浜田徹, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 16
Number : 7
Page : 729-753
Year/Month : 1968 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 人工心肺は生体の心肺機能を生理的に代行すべく意図されたものであるが, 未だあらゆる点でその意図を満たしているとは云い難い. たとえば体外循環に伴う血圧低下もその代表的なものであり, Dowら1)は同種血液を充填し体外循環を行なつた実験犬に脱血不良, 動脈圧の低下を観察し, その原因として充填された同種血液によるhomologous blood reactionであるとした. その機序についてはSilverら2)は輸血によるshock犬の観察で門脈圧の上昇, 末梢動脈圧の低下を報告し, 門脈系および肝内に血液のpoolingが起る一種のアナフラキシーショック状態であるとした. 臨床的にはBraimbridge3)が体外循環後の原因不明の血圧の低下を報告し, Gadboys, Litwakら4)は体外循環前後の循環血液量, 赤血球数を測定し, 体外循環後にこれらが減少すること, すなわちsequestrationの存在を指摘し, これが体外循環後の血圧低下の原因であるとした. さらにCooleyら5)はこのhomologous blood reactionはdonorとrecipientの間のみならず, 輸血に供せられた血液相互間にも起こり得ることを指摘した. そこで充填血液量を少なくするために装置内に血液以外の成分を加える稀釈体外循環法が考案され, Longら6)は低分子量Dextran(Rheomacrodex(R))を用いて稀釈体外循環を行ない, 眼球結膜の毛細管を観察しsludgingの少ないことを報告した. さらにZuhdiら7)は小容量の人工心肺装置に5%糖液のみを充填し低体温法を併用した潅流法を報告し, 以来この無血充填体外循環法が各地で試みられ5)8)~14), 我国においてもほとんど時を同じくして稀釈体外循環の臨床応用15), さらには無血充填法の実用化16)がなされて来ている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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