アブストラクト(16巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸壁外人工食道による食道癌手術
Subtitle : 原著
Authors : 岡本良夫, 帯津良一, 藤塚立夫, 小川和昭, 川嶋修, 林田健男
Authors(kana) :
Organization : 東大分院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 16
Number : 8
Page : 862-869
Year/Month : 1968 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌手術を病巣の切除と食道再建とに2分して考えてみると, 前者は根治性が後者は食餌摂取と生活の便宜が目的であるといつてもよいであろう. 食道再建には挙上臓器の種類や径路によつて多様の方式があるが1~14), 一般に手術侵襲はかなり大きく, 進行癌, 高令者, poor riskの症例などで無撰択に再建を完了するのは疑問であると思う. すなわち, 手術の直接死亡率を増すのみならず, 再建完了後の生存期間がしばしばきわめて短くなり, はなはだ無意味な手術になりかねないと思われるからである. 食道再建を行なわずに切除と瘻孔設置のみですませると, 手術侵襲は遙かに軽減され, 合併症もすくなく, poor riskの症例では適切な方式といえるが, 術後の食物摂取, 栄養管理の問題が残つてくる. このためには食道瘻と胃瘻とをゴム管などで連絡する方法がTorek(1913)以来いろいろと報ぜられてきたが15)~25), 食道瘻で食物がもれたり, 食道粘膜傷害がおこつたり, 実際にはいろいろと苦労することが多い. これらを解決するために, 著者は食道瘻の状態に応じて上端を食道瘻の外側にも内側にも装着しうる人工食道を考案し24)25), 東大分院外科における食道癌切除症例のうち再建を行なわなかつた31例中の14例に用いて満足すべき結果をえている. この報告は, この胸壁外人工食道を用いた食道癌手術について, 手術々式ならびに術前, 術後管理の特徴と要点とを記述したものである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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