アブストラクト(16巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 色素稀釈法による心臓手術術後急性期の血行動態に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 朴相鉉*,**, 木本誠二**
Authors(kana) :
Organization : *東京大学大学院医学系研究科, **東京大学医学部胸部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 16
Number : 9
Page : 922-949
Year/Month : 1968 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「1. 緒言」 心臓疾患の外科的療法においてもつとも有效な成績をあげるためには, 正確な術前診断および手術適応, 適正な体外循環および手術操作, 合理的な術後管理などが主要な因子としてあげられる. 前2者が大切であることは勿論であるが手術の適応を精査検討するとともに手術の合理的後療法を巧みに行なうことがさらに重要である場合が少なくない. しかし心臓手術術後管理に関する系統的な研究は術後血行動態検索の技術的困難さもあつて少ない. Boydら32)およびMayo Clinic33)34)35)36)から術後急性期の血行動態の変動について一連の報告があるがいずれも短時日間のものである. 合理的な術後管理を行なうためには, まず患者の血行動態を適正に把握する必要がある. 術後血行動態に関する情報が多ければ多いほどその血行動態に応じた対策がたてやすいのは当然である. しかし術後急性期にあつては患者に負担を与えず, 操作が簡単でありBed sideで随時実施しうる方法であつてしかも危険を与えない検査法でなければならない. 色素稀釈法は1950年Knustonら1)が先天性心臓疾患の診断に適用して以来, 主としてWood, Swan, NicholsonらMayo Clinicの研究者2)3)の一連の研究は心臓奇形の診断的応用に大きな進歩をもたらした. 本邦においても色素稀釈法の臨床応用について, 田口ら4)5), 中村ら6)7)8), 渡部9)10)および藤倉ら11)の報告がみられるが, 本法を応用した心臓疾患術後血行動態に関する系統的研究はまだ報告をみていない. 現在教室では術後種々の血行動態の指標について測定する一方, Ear-pieceによる色素稀釈法を行ない術後急性期の血行動態を検索しており, 外来患者に対するScreeningおよび長期術後管理上予後判定に重要な資料を提供している. 著者は先天性および後天性心臓疾患につき術前術後色素稀釈曲線を術後2週間まで経時的に記録集計分析し, 主として心拍出量を中心に色素稀釈曲線の時間および濃度因子について考察をすすめ, 各種心臓疾患の血行動態を機能的に把握することを試みた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ