Abstract : |
「I. 緒言」1955年にLilleheiら1)が最初に体外循環装置を用いてファロー氏四徴症の根治手術に成功してからすでに12年が経過した. その後本症に対する手術手技, 術後管理の改善が行なわれるにつれて, 手術成績は次第に向上し, チアノーゼが高度なものも手術されるようになった. 1967年のわが教室の根治手術成績も20例中1例の死亡だけであった. しかし手術成績は向上したものの, 術後経過は必ずしもスムーズでなく, その管理にはまだ多くの間題が残されている. すなわち, 術後2~3日, ときに1週間後に右心不全の徴候を見せる例が少なからず認められる. これを防止するためには, まず術後に特有な循環動態の変動を究明することが必要であると考えた. これまで本症に対する手術手技や, 術後成績に関する報告は数多くあるが2)~8), 術後早期における病態生理学的な研究は非常に少ない9)~11). その理由にはいろいろあるが, とくに本症根治術後に多大の侵襲が加わっている患者に対して, これまで用いられてきている心カテーテル法は術後管理上不適当であり, また実際経時的に行なうことはほとんど不可能に近い. |