Abstract : |
「I 緒言および文献的考察」上行および弓部大動脈瘤に対する外科的療法の中で, 代用血管移植術に伴なう同部の血流遮断は, 手術手技上種々の問題が残されている. この血流遮断に関して, 種々の方法が試みられているが, それぞれ一長一短がある12)13)14)15)16)17)18)26). Hardin1), Schafer2)およびStranahan3)らは大動脈弓部の移植にpolyethylenの一時的bypassを用い, Bahnson, and Spencer4), Cooley, and DeBakey5)らは上行大動脈瘤の切除に, cardiopulmonary byassを用いている. Cooley6)らは弓部大動脈瘤に対して, 低体温を併用した左心bypassを行なっているが, これには抗凝固剤の使用を必要とするために, 術中, 術後の出血量が増加する. Waldhausen7), Muller8)らは, 体外循環を用いずに, 段階的漸進的血管移植を行なっている. この方法はWaldhausen7)らも述べているように, 動脈瘤が大動脈起始部に存在するときは, きわめて困難である. |