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「I. 緒言」麻酔中の呼吸管理や換気不全の患者に対処される調節呼吸は, 自然呼吸に比して吸気相と呼気相の気管内圧の逆転や平均気管内圧の変化など, 生理的な肺胞ガス交換機能や血行動態に重大な影響をおよぼすことは明らかである. Severinghausら38)は臨床的実験で, 調節呼吸は自然呼吸に比して, 動脈血・肺胞気CO2圧差が増加するとしたが, Nunn28)らは調節呼吸時の肺胞CO2交換と死腔は自然呼吸の場合に比して, 相違を認めなかった. 同様に調節呼吸下のO2交換においても, 臨床的, また実験的にその結論は区々である5)10). しかも多くは換気機能の多数因子を測定しているのではなく, 実験条件にもやや厳格を欠くと思われる. われわれはまず自然呼吸と同一の呼吸数及び呼吸量で軽度陽圧(平均気管内圧)調節呼吸を行ない, 肺ガス交換機能および循環動態を多数因子の同時測定を行なって自然呼吸の場合と比較した. ここに調節呼吸下の換気が軽度ながら低下することと, その変化が循環機能の低下に基づくものであることを見出し, ついで調節呼吸下における循環動態の変化を平均気管内圧との関連において追求し, その血行力学的メカニズムを明らかにし, 調節呼吸の至適換気条件について若干の考察を行なった. |
