Authors : |
田中孝, 榊原仟, 蛯名勝仁, 和田汪, 冨永誠一, 小林尚子, 李麗賢, 高尾篤良, 三森重和 |
Abstract : |
「緒言」東京女子医大心研における心臓手術症例数は, 昭和42年3月末現在5,900例に達するが, そのうち心室中隔欠損症(以下VSDと略す)の根治手術は696例, 11.8%である. 肺高血圧症をともなつたVSDは, 手術成績或は, 術後遠隔成績を論ずるうえで, 単純なVSDと区別してみる必要があるので, 私共は, かりに, 肺対系統動脈収縮圧の比(以下肺体血圧比と略す)が70%を超えるものを肺高血圧症をともなつたVSDとして取扱つている. かかる症例が58例あり, 表1に示すように, その手術成績は, 近年ようやく向上しており, また, 手術予後についてもいささか評価しうる段階に達したので, ここに私共の経験をまとめ報告することは意義あるものと考える. 「研究方法ならびに対照」まず, 直視下根治手術例として, 上述の如く, 肺体血圧比70%以上のものが58例, ならびに, 対照群として, 肺体血圧比40~70%のもの, 肺体血圧比40%以下のVSDそれぞれ20例, および非手術症例であるが, 高度の肺高血圧症を来している所謂Eisenmenger症候群乃至は, 手術の危険きわめて大きいものとして, 手術を見合せたVSD症例20例を選んで, おのおの下記の如き, 検討を行なつた. |