アブストラクト(17巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性心筋硬塞切除の実験的研究-心室細動発生閾値の上昇を目指して-
Subtitle : 原著
Authors : 平塚博男, 榊原仟
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 1
Page : 63-71
Year/Month : 1969 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「1. 緒言」 1953年にL.B.Leagan1)が急性心筋硬塞に合併した心室細動の患者の蘇生に初めて成功して以来, この種の急性循環停止の患者の蘇生成功例の報告が次第にその数を増し, 最近ではその多くがC.C.U.(Coronary Care Unit)で蘇生されるようになつた2)3). しかし, modern electronic equipmentを備えたC.C.U.においてすら, 急死する例の多くが心室細動によるものであり, 細動がintractableな例や, 一旦除細動が成功しても短時日で心室細動が再発して結局死亡する例が多く, 急性心筋硬塞に心室細動が併発した例で, 完全に蘇生されて退院し長期に生存出来るものは依然として少い4)5)6). また, 狭心症に対する外科治療の領域においても, EndoarterectomyやVineberg's operationで, 手術中や術後早期に急性心筋硬塞による心室細動が発生し, 強力な蘇生術の試みにもかかわらず急死する例があり7)8), この事実は, 急性心筋硬塞に合併する心室細動が, 今後ますます普及発展を期待される冠動脈外科治療における大きな障害の一つとなる事を示唆する. 急性硬塞心では, 異所放電のfocusとなる硬塞部の存在が心室細動の原因であり9), 心室細動発生閾値が低下して心臓が電気的に不安定になる事が実験的に証明されており10), 臨床的にも, 急性心筋硬塞で急死する患者の多くが心室細動の発生によるものである11)12), という所見と一致する. 以上より, 異所放電のfocusである硬塞部を切除すれば, 心室細動発生閾値が上昇し, 心臓は電気的に安定して除細動は容易となり, 細動再発の可能性が少くなり, 急性心筋硬塞に併発せる心室細動からの蘇生率を高め, かつ予後の著明な改善が期待される. 著者はこの想定に基づき, 果たして急性心筋硬塞切除が, 低下せる心室細動発生閾値を上昇させ, 心臓を電気的に安定せしめ得るか否かについて実験的研究を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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