アブストラクト(17巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環時の溶血に関する研究-溶血防止法を中心に-
Subtitle : 原著
Authors : 古謝景春, 綿貫重雄
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学院医学研究科外科系外科学(I)
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 8
Page : 956-971
Year/Month : 1969 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 1953年Gibbon1)が人工心肺使用により心房中隔欠損症の直視下根治術の成功例を得て以来今日まで, 種々の人工心肺装置の改良2)3)4)や体外循環時の病態生理の解明が行なわれ, 稀釈血体外循環の採用5)6)などにより今日では比較的長時間にわたる体外循環も安全に行なわれるようになつてきた. しかしながら体外循環装作はあくまでも非生理的な状態であり, 潅流時間が短かければ短いほど術後の患者の経過は良好であることに変わりはない. 心臓移殖術7)をはじめ, より重症例への手術適応が拡大され, さらには急性心不全患者への補助循環8)9)として体外循環の応用が行なわれるようになつてきた今日, 膜型人工肺をはじめ, より生理的な体外循環装置の工夫が望まれるところである. さて体外循環時に発生する溶血は最も不快な合併症の1つであり, 術後の急性腎不全10)11)12)13)をはじめ, 出血傾向14)肺合併症15)などに関与し手術成績を大きく左右するといわれる. 人工心肺装置の改良, 血液稀釈法の採用などにもかかわらず, 現今使用されている人工心肺装置においては, ある程度の溶血は避けられないといわれ16)17), 人工心18), 人工肺19)回路20)および心嚢内貯溜血21)がその要因としてあげられている. 一方溶血防止策としてmannitol11)12)22)に期待するむきもあるが必ずしも満足すべきものではない. さらにMeyer-Wegener23)はα-Tocopherol(Vitamin E)の溶血防止効果を報告し, また宮内24)はPluronic F-68が溶血防止に有効であつたことを報告している. そこで著者は体外循環時溶血の諸動態を観察し, 主として溶血軽減の観点から諸種稀釈溶の溶血におよぼす影響を検討し, さらに上記諸種溶血防止剤の効果について, 実験的および臨床的に検討したので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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