アブストラクト(17巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 実験的肺移植の研究 特に移植肺機能に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 御供陽二, 瀬田孝一
Authors(kana) :
Organization : 岩手医科大学医学部外科学第1講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 9
Page : 979-996
Year/Month : 1969 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」近年人工臓器の開発にはめざましいものがあるが, いずれも人体各器官の機能を一時的に代償するに過ぎず, 生体内に長く装着されて半永久的に機能を営むまでには至つていない. 近年血管外科の進歩, 移植免疫に関する基礎的研究, 免疫反応抑制物質の登場によるMurray1)らの腎移植臨床応用例の成功などにより, ここに臓器移植の問題が大きく取り上げられるに至つた. 肺癌, 重症肺結核, 高度の肺線維症などの重症肺疾患に対する究極的治療法として肺移植は長い間の課題であつた. 1951年Juvenelle2)が犬における自家肺移植成功例を報告して以来, Neptune3), Hardin4), Blumenstock5)らにより自家移植からさらに同種移植へと実験的研究が進められ, 近年国内外において多数の報告がみられるようになつた. 臨床面では, 1963年Hardy6)らが肺癌患者に肺の同種移植を行なつて術後18日間の生存例を得たのに始まり, Magovern7)らの一側肺移植臨床例, 本邦でも篠井8)らが肺葉移植臨床例を報告しているが, いずれも18日以内に死亡あるいは再剔出を余儀なくされている. 同種肺移植における問題点は, 手術手技, Denervationの影響, 免疫反応抑制法, Donor肺の入手法, 移植肺保存の方法が主なものであり, 臨床応用上特に今後に残された大きな課題は, 免疫反応の抑制, 移植肺の入手困難性, 移植肺の長期保存であると考えられる. 著者は, 臨床的同種肺移植成功のための基礎として犬を用いて実験的に自家肺移植および同種肺移植を行ない, 上記問題点を含めて肺移植の成績を判定するために, 移植後の呼吸状態の評価を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ