Authors : |
川島康生, 藤田毅, 上田武, 中田健, 近森淳二, 内藤泰顕, 森護, 西崎宏, 曲直部寿夫 |
Abstract : |
「I. 緒言」 Non-restrictiveな心室中隔欠損と肺動脈狭窄を有し大動脈の騎乗を伴う所謂Fallot四徴症には, 大動脈騎乗がわずかで肺動脈幹も十分な太さを有しcyanosisの軽度なものからpseudotruncs arteriosusと称せられるものまで包含されながら, 近年に至るまでほとんどその分類は行なわれていなかつた. そしてこれが開心根治手術の対象となつてからは若干の研究者1)によつて分類が試みられたが, その複雑多岐な形態と多彩な病状との故に明快にこれを分類することができず, むしろその重症度を末梢動脈血酸素飽和度や, Ht値によつて分類することが一般に行なわれている. 教室で従来行なつてきた肺動脈幹の太さと大動脈基始部の太さの比を以つて表現する方法2)3)もまた形態学的な指標とは言いながらも動脈血酸素飽和度, Ht値との間に相関を有するものであつて心内の複雑な奇形にはふれず, 重症度分類の1つといわざるを得ない. そこで今回は現在まで教室で根治手術を行なつた症例をふり返りその手術所見に検討を加え根治手術を行なう立場から心内奇形の分類を試みた. 幸い手術方法選定の指針ともなり, 手術成績とも密接な関係を有する極めて単純明快な分類法を決定するに至つたのでここにその概要を述べたい. |