アブストラクト(17巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 手術前後の呼吸動態に関する研究-とくに高令者手術を中心として-
Subtitle : 原著
Authors : 白津文夫, 林周一
Authors(kana) :
Organization : 順天堂大学大学院医学研究科外科系外科学講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 9
Page : 1025-1040
Year/Month : 1969 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 わが国における最近の平均寿命の延長は急速で欧米の水準に近づきつつあり, 年令構成には老化の傾向がみられるようになつてきた. 成人病ないし老人病といわれる各種の疾患が必然的に増加してきているが, とくに悪性腫瘍の増加は著るしく, このために高令者に対する手術の機会が多くなつてきた. 手術手技の改善, 術前術後の管理の向上, 麻酔の驚異的な発展とうにより高令者の手術も比較的安全に行ないうるようになつたが, しかし青壮年層と比較するといまだ術中術後の合併症の発生が多く, 手術死亡率も高く, 決して満足できる成績がえられているとはいい難い. 高令者の術後合併症としては心肺合併症がその頻度, 致命率などからみてもつとも重要であり, これに関する研究は数多く発表されている. 1956年Astrup1)は酸塩基平衡諸値を簡単に測定できる画期的な方法を開発して以来, 酸塩基平衡に関する測定が臨床上容易に行ないうるようになつた. さらに1956年Clark2)が酸素分圧をpolarographicに直接測定できる電極を考案し, 1957年Stow3)が炭酸ガス分圧測定用の電極を作成し, 1958年Severinghaus4)がこれに改良を加えて血液ガス分圧の直接測定が可能となり, 呼吸動態の解明に飛躍的な進歩をもたらした. 手術後の呼吸動態の変化については1958年Gordh5)が術後の患者の詳細な観察から, 肺合併症のみられない症例においても術後には多少ともhypoxemiaの状態がみられることを報告して以来, 術後のhypoxemiaが大きな問題になり肺合併症との関連において種々の面から研究がなされてきた6)~12). 著者は高令者の手術前後の呼吸動態を青壮年のそれと対比しながら検討し, 術後の呼吸管理になんらかの手がかりを求めて, 肺合併症をいくらかでも減少させようとしたのが本研究の目的である. 呼吸管理の向上によつて術後肺合併症の発生率はまだまだ低下させることができるであろうし, また万一発生したとしても早期に発見し早期に治療することによつてその死亡率を減少させることが可能であると考えたからである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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