アブストラクト(17巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単純超低体温法の麻酔管理法に関する研究とくに心電図学的所見を中心にして 第II編
Subtitle : 原著
Authors : 斎藤一彦*,**, 岡村宏*, 瀬田孝一**
Authors(kana) :
Organization : *岩手医科大学麻酔学教室, **岩手医科大学第1外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 11
Page : 1238-1253
Year/Month : 1969 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I)緒言」 当教室における単純超低体温法は自律神経遮断剤併用によるEther深麻酔下に施行し, 優秀な成績を修めていることは, すでに著者らが9)~16)54)報告している. この自律神経遮断剤が低体温麻酔時, いかに効果的に作用しているかは, 当教室における成績が証明するものと思う9)~16). 一般にEther麻酔時心調律異常をきたし易いとの報告が多いが82)84)~90), 心筋障害を伴える症例や, あるいは不顕性の心筋障害を有する症例では, さらに変動し易いのは当然であろう. すなわちEther麻酔時, とくに導入時, あるいは深麻酔時には, 心外性因子により, あるいはEther自体の心筋におよぼす影響などにより, 心調律異常, とくにPace makerの移動が来易い. これらの調律異常の多くは, 一般には無害のものとされているが91)92), 心筋障害を伴える心疾患では, 決して安心できるものばかりでなく, 患者管理上大きな困難をきたす症例もある. 一般にEther導入時, あるいは低温導入時の生体の示めす態度は, その後の麻酔経過上にも, さらに術後の患者管理上にも大まな影響をおよぼすと考えられる. この導入時円滑な麻酔経過を得る目的に, 交感神経遮断剤使用の妥当性が考えられ, とくに心外性因子による心調律変化, さらに心自体に対する直接作用としての麻酔剤の副作用防止について, その効用が期待され, もつぱらPacatalを使用してきたが, 最近ではVesprinを使用し, このため, さらに成績を向上し得た. そこで当教室初期のmepazine(Pacatal)使用時の成績と, 現在使用中のTrifluoropromazine(Vesprin)使用時の成績との比較を, 血流動態並びに心調律所見を主体として観察し, PacatalとVesprinの低体温時使用の意義を考察した. まず始めに当教室での低体温麻酔法の変遷について述べる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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