アブストラクト(17巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環が血液性状におよぼす影響に関する臨床的研究-気泡型人工肺と回転円板型人工肺との比較を中心として-
Subtitle : 原著
Authors : 川崎富夫, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 12
Page : 1287-1305
Year/Month : 1969 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I 緒言」 心臓外科の発達とともに, 複雑な心奇型や重症心疾患の開心術がとりあげられるようになり, 長時間潅流が要求される症例が増加してきたが, その要望にこたえて, 血液稀釈法とう種々の改良が加えられ1)~7), 現在回転円板型人工肺によつて, かなり長時間にわたり安全に体外循環が行なわれうる段階に達している. しかし回転円板型人工肺では, その充填に大量のヘパリン血が必要なため, 血液確保という問題が関係者を悩ませている. 1960年Zuhdi8)はdouble helical reservoirを作成し, 翌年この装置に5%ブドー糖液のみを充填し, 軽度低体温法を併用して, いわゆる無血充填体外循環を行ない9)10), 一方Cooleyら11)はdisposable oxygenatorを用いて常温下の無血充填体外循環を実施し, ともにすぐれた成績を報告した. 当教室においても, 無血充填体外循環の実験的研究12)13)につづいて, 臨床応用がすすめられた14). これらの気泡型人工肺は, 充填血液が甚だすくないという大きい利点をもつ反面, 血液破壊などの面でなお問題があるため, 比較的短時間の体外循環例に応用されている現状である15)16). 気泡型人工肺による体外循環が, より安全に, さらに長時間にわたつて実施しうるならば, 血液確保の問題が大巾に解決されるばかりでなく, 人工心肺stand byによる手術が簡易に行ないうるという点で, きわめて意義のあることと思われる. 著者は気泡型人工肺による長時間体外循環への隘路が, どのあたりに存在するのか, もしあるとすれば, 如何にしてこれを克服することができるかを解明せんがために, その手がかりとして, 気泡型人工肺による体外循環の成績, 特に血液性状が蒙むる影響を, 回転円板型人工肺を用いた場合と比較検討し, 若干の知見をえたので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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