アブストラクト(17巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高圧および常圧下におけるOxygen Toxicityの実験的研究-特に肺の変化について-
Subtitle : 原著
Authors : 石塚玲器, 葛西洋一
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部外科学第一講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 12
Page : 1314-1328
Year/Month : 1969 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I. 緒言」 近年, わが国においても, 高圧酸素法(OHP)の応用により, 従来の常圧下酸素療法(OAP)では得難い多くの臨床治療の適応が開拓されつつある. すなわち一酸化炭素中毒, ガス壊疽などの嫌気性菌感染症, 心臓外科手術への応用, ショック, 心筋硬塞, 火傷を始め臓器保存などに対して本法は適用されている2)4)14)18)52). OHPの主な目的は, 高い酸素分圧を生体組織に与えることであり, 換言すれば, 異常な環境をつくることになる. したがつて, 従来, OAPでは, あまり注意をはらわれていなかつたO2中毒の問題は当然重要視される必要がある. 実際上これらの方法には, OHPはもとより, OAPにおいても生体へのPO2を組織の障害を発生しないように, 与える条件が検討され, 生体組織のPO2を高めるべく意図した方法が, 逆に酸素によつて生体組織を障害することは避けられなければならない. 酸素中毒に関与する因子は種々あげられるが, 酸素濃度, 投与期間, 生体の感受性などがその主なるものと考えられる6)7)10)12)13)14)26)27)35)53). 臨床的酸素中毒の症状は必ずしも一様ではなく, 中枢神経系, 肺, 心, 肝, 内分泌系器管などの細胞の代謝障害にもとづいて, おのおの, 特有な形を示す. とくに肺傷害は, Lorrain Smith効果ともいわれ, 肺浮腫, 無気肺など肺胞壁および肺毛細血管の破壊などを起こすが, その発生機序はいまだに, 完全に明らかにはされていない. 著者2)52)は高圧酸素下心手術後の合併症の中に, 無気肺のあることを経験し, 高圧酸素と肺傷害の関連性に問題点を感じていた. このような観点から, 著者は, 酸素中毒肺に焦点をおき, その病態生理を実験的に検討し2, 3の新知見を得たので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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