アブストラクト(17巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 外科的肺疾患における気管支動脈のレ線学的研究 肺癌の補助的診断法としての価値の検討
Subtitle : 原著
Authors : 熊倉稔, 篠井金吾, 早田義博
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 6
Page : 775-792
Year/Month : 1969 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 臓器に分布する血管を造影し, 臓器の病変による二次的な血管系の異常を観察する血管造影法は多方面に応用されている. すなわち, 診断面では病変の性質, 程度, 部位, 広がり等を判断し, 治療面では手術の適応判定および手術方法の決定に, また, 薬剤の病巣局所注入療法などに応用され, さらに血管内における造影剤を動的に観察することにより, その血行動態の追求も行われている. 肺疾患における血管造影の研究は, 従来, 肺動脈, 上大動脈に対して行なわれており, とくに肺癌においてはその形態学的変化から外科的療法の適応判定指針として重要視され, また, 肺動脈の形態学的変化より肺癌の診断的価値を見出さんとする研究もある. しか, 肺の栄養血管系である気管支動脈に対しては, 臨床的に適切な造影方法が見出されなかつたため, 最近になり研究が進められてきた分野である. 臨床的に気管支動脈の変化を観察した報告は1950年Teleradiogramにて本血管系を検討したCambell&Gardner1)の報告があるが, 気管支動脈の血管造影を試みたのは, Garsui2), (1961), 次いでNeyazaki3), Williams4), Cliffton5), 永田31)らである. 彼等は種々のCatheterを考案し, 胸部大動脈撮影を施行して随伴的に気管支動脈を撮影する非選択的な造影法を報告した. 1964年に至りSchober6), Viamonte7)次いでNewton-9), Nordenstrom10), Reuter11)等がSeldinger氏手技による選択的気管支動脈造影法を報告し, 明瞭なる気管支動脈像が得られるようになり本血管系の臨床的研究は急速に進歩してきた. 著者は, 1963年より現在までに, 各種外科的肺疾患204例を対象とし, 気管支動脈撮影を施行し, 本血管系のレ線解剖学的検討および病的肺, とくに, 肺癌を中心とする気管支動脈の変化を観察し, その診断的価値について検討を加えた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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