アブストラクト(17巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大血管転位症の根治手術成功例について
Subtitle : 原著
Authors : 中瀬俊枝, 田中信行, 池田晃治, 岩喬, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 17
Number : 7
Page : 815-824
Year/Month : 1969 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「はじめに」大血管転位症の発生頻度は比較的多く, Keithら1)の種々報告例集計によれば, 全年令の先天性心疾患の剖検例では, 5%, 小児の剖検例では18~20%を占めるが, 小児の臨床例では約5%となつている. われわれの外科治療対象例では, 昭和43年8月末までの約2300例の先天性心疾患手術症例中34例(約1.5%)である. すなわち, そのほとんどが生後間もなく死亡するという最も予後不良な先天性心疾患の1つに数えられており, Keithらによれば平均生存年令3カ月, その50%は生後1カ月以内に, また85%は6カ月以内に死亡するという1). しかしながら最近にいたりその新生児期, 乳児期における外科治療の進歩, さらにSenning, Mustardらによる根治手術が実用化され, その成功例の報告が数を増してきている. われわれは, 1962年以来現在までに34例の本症に対し, 38回の手術を経験しその臨床所見, およびわれわれの直視下心房中隔欠損作成術をはじめとするその姑息的手術の成績についてはすでに報告した3). 今回は, 生後11か月目にBlalock-Hanlon手術を行ない臨床症状を改善せしめたが, その後再びチアノーゼの増強, 運動能力の低下をきたしたため, 術後4年6か月目にMustard手術により根治せしめた症例を報告するとともに, 本症に対する外科治療についていささか文献的な考察を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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