アブストラクト(18巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌切除に伴う消化吸収および栄養状態に関する臨床的研究-非再建例の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 川嶋修, 林田健男
Authors(kana) :
Organization : 東京大学医学部分院外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 1
Page : 23-38
Year/Month : 1970 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第I章 緒言」 食道癌の外科的治療は, 近時急速に普及し治療成績も著しく向上しつつあるが, 未だ他の消化器癌の治療成績に比較すると明らかに劣つている27)28). その原因として進行癌が多く根治手術率の低いことが根本的なものと考えられるが, 手術の侵襲が大きく, また高令, 低栄養患者の多いことなども, 臨床上無視できない原因であろう. かかるpoor riskの食道癌患者に対しては, 一期的手術を強行せず, まず病巣切除のみを行ない, 頚部食道瘻と胃瘻とを設置しておくことははなはだ有利な手段であり, これによつて治療成績の向上を計ることができる41). この食道瘻と胃瘻との間を何らかの人工的管腔で連絡すれば経口摂取が可能となり, これにより長期の生存が可能であるし, また, 患者の状態が許せば, 適当な時期に食道再建術を行なうことができる(分割手術35)36))). このような時期の栄養摂取は1つの胃瘻栄養であるが, 手術不能患者における姑息的栄養手段とは違つて, より積極的な栄養法と考えるべきであろう. かかる観点から, 教室では長期胃瘻栄養法を重視し, その一環として胸壁外人工食道41)42)の開発を行なつてきた. 胸壁外人工食道の装着により, 経口摂取量の増加, 心理的な満足感, 社会生活への適応などの面では, ほゞ満足すべき結果を得ているにも拘らず, 栄養状態の改善についてはなお改善すべき余地が残されているといわざるを得ない. そこで, 食道癌切除後非再建例の消化吸収の実態と, それの栄養状態におよぼす影響と対策について, 臨床的検討を行なつた結果について報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
このページの一番上へ