アブストラクト(18巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 放射性同位元素133Xeおよび131Iの同時静注法による局所肺機能検査の研究
Subtitle : 原著
Authors : 荻野紀征, 篠井金吾, 早田義博
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 3
Page : 202-220
Year/Month : 1970 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第I章 緒言」 アイソトープの医学的利用のうちで, 最近著しい進歩発展がみられた分野として, 心肺疾患の診断面への応用および肺生理学への応用を取りあげることができる. 1927年Blumgart1)が放射性アイソトープRaCを用いて循環速度や循環に要する時間を測定した研究に端を発し, Quimby2)らが24Naを使用し, また, Friedell3)らが32Pを使用し始めてから, RI利用の進歩は一段と活発になつた. 1949年Prinzmetal4)らは24Naを使用し, GM管を心臓に置いてRadiocardiographを書き, Shipley5)らにより新しいScintillation装置が応用されるに至り, RIの医学利用の足掛りはその基礎を作られ実用的なものとなつてきた. 肺循環への応用としては, Stewart-Hamilton6)7)法, Bradley8)法などが確立されて以来, 心拍出量, 肺血量測定にRIが広く用いられるようになり, 利用されたRIは, 131I, 55Fe, 32P, 51Crらがある. 一方, 放射性ガスを利用する方法も考案され, とくに肺換気機能への応用は, 1954年Krohofer9)が初めて14COを用いて肺拡散能力を測定した後はさらに進歩し, 1955年にはKnipping10)らが133Xeを用いて局所肺換気機能を体外計測的に測定する方法を開発し, 1960年Doolery11)は15COを用いてSingle breath methodによる肺局所拡散能力を測定した. また, 1960年Solvsteen12)は, 14COを用いた閉鎖回路法により拡散能力の不均等分布の測定を行ない, Hugh-Jones13)およびWest14)15)らは, Knippingの方法に注目し, 15O2, C15O2, C15Oを用いて血流分布, 換気, 拡散を一連の局所肺機能検査法として発表した. 1962年にはBates16), Westらは, Knippingの133Xe法をさらに発展させ肺局所の換気のみならず血流分布の測定を発表した. 以来, 133Xeによる局所肺機能測定法は, 肺疾患の病態生理の研究, また, 肺生理学の研究に急速に発展し今日に至つている. 本邦においては, 開原17), 篠田18)らが, 1965年胸部疾患学会および第4回核医学会に初めて133Xeガスの吸入を体外計測により測定する方法を発表して以来, 研究の道が開かれ, 金上19)らは, 133Xeガスを用いて局所肺胞換気効率の測定, 90%133Xe洗出し時間の測定により, 各種肺疾患の局所肺機能研究の詳細を報告している. しかし, これらの方法はいずれも肺血流ないしは肺胞換気を一種類のRIによつて個々に測定しているので, 局所肺血流, 肺胞換気を同一条件に測定し得ない欠点があつた. かかる点に着目し, 著者は局所肺の血流動態および換気機能を同時に測定し, かつ, 両者間の関係を把握する方法として133XeおよびRISAの同時注射によるdouble tracer法を考案し, 各種肺疾患の病巣部の局所肺機能の追求と, 補助的診断法としての可能性および肺手術前後の機能検査法の価値を検討すべく本研究を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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