アブストラクト(18巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 直流除細動法(Direct Current Defibrillation)に関する基礎的臨床的研究
Subtitle : 原著
Authors : 山本弘, 赤倉一郎
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 3
Page : 234-249
Year/Month : 1970 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」Electronicsの医学領域への応用により, その診断および治療は近年めざましい進歩を遂げつつある. また, それが診断や治療の単なる補助手段であるにとゞまらず, ある面ではelectronicsそのものが治療手段となり, これまでの治療法に大きな変革をもたらしたともいえる. 除細動器や心臓ペースメーカーのように, 諸種の不整脈や刺激伝導障害の電気刺激による治療法は, 従来の薬剤による方法に代つて, 現在の不整脈治療の主役を演じている. われわれもここ数年来Medical Electronicsに強い関心をもち, 積極的にこれをとり入れてきたが, その一端として, 直流除細動法について, 基礎的実験および臨床的評価を行なつたので報告する. 従来, 心室細動に対する電気的除細動法として, 多く交流除細動が用いられてきたが, 最近に到り, 直流除細動方式が確立されるにおよんで, その除細動率も飛躍的に向上し, また心房細動やその他の不整脈の電気的治療も可能となつた. そもそも電気的除細動に関しては, すでに19世紀末に交流方式, 直流方式ともに紹介されており, いわゆる“Electrical Defibrillation”の概念が確立されている. その後, 1932年にいたり, Kouwenhovenら2)~4)が交流方式と直流方式とを比較検討した成績から, 直流方式は効果が不安定であるとの結論を報告して以来, もつぱら交流方式が臨床に応用されてきた. しかし, 1957年Peleska5)が詳細な実験結果から, 直流方式の優秀性を報告して以来, 直流方式が再認識され, 多数の追試や臨床応用が試みられ, また同年Lown6)7)の研究報告もあつて, 直流除細動法が確立されるに到つた. ここでは, 現在なお問題と考えられる放電様式についての実験成績をのべるとともに, 除細動前後の変化から, 心房細動が心機能におよぼす影響を, 僧帽弁々膜症の臨床例について検討したので, それらについて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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