アブストラクト(18巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 稀釈体外循環後の充填液大量注入(Over infusion)の研究
Subtitle : 特掲
Authors : 和田汪, 榊原仟
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 3
Page : 250-261
Year/Month : 1970 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」体外循環の概念は, 1812年LeGalloisに始まるが, 動物実験に使用された人工心肺の開発は, 1937年Gibbon1)に始まる. その後1953年に臨床応用がなされ2), 今日に至つている. 初期は, 人工心肺充填液として全血が使用されたが, 血液不足, 大量の血液使用によるHomologous blood syndrome. Immumological reactions. Hemolysisとうの問題が有り, その対策として稀釈体外循環法の概念が導入された. 1960年Neptune3)は稀釈液として生理食塩水を使用, その後Zuhdi4), Cooley5), Lillehei6)らにより5%ブドウ糖液(以後5%D/Wと略す)が, Long7)により低分子デキストラン(以後LMWDと略す)が, Neville8)により, リンゲル液, リンゲルラクテート液(以後RLSと略す)が稀釈液として使用, 検討されている. 私達の教室でも, 1956年気泡型人工心肺により臨床成功例を得てより9), 軽程低体温法併用のものとに研究を続け, 欧米の研究者と時を同じくして稀釈体外循環の研究10)を手がけた. 稀釈液として何が最も優れているかという問題に関しては, 使用する代用血漿でそれぞれ利害得失が有り, 施設により使用する稀釈液が異なつている. 一方稀釈体外循環後, 体循環血流中のHtが低下する. これを補うため体外循環後, 人工心肺回路内に残つた血液を, 体循環系に戻す事が必要となる. その結果として稀釈液が体内に大量に注入(Over infusion)される. Over infusionはどこまで可能であるか?一般の胸部手術, 腹部手術, 熱傷および出血性Shock時のOver infusion可能限界に関して, 1935年Warthen11)の実験に初まり, Altschule12), Warrn13), Shires14), Johnson15), らにより報告がなされている. 著者は体外循環稀釈液として広く使用されている. 5%D/W, LMWD, RLSの3種類の液を使用し, 潅流後どの程度まど体内に還血注入可能かを比較検討した. (RLSは市販のNa+;131, K+;4, Ca+;3, cl-;110mEq/L Lactate 28, pH8.00を使用).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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