アブストラクト(18巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 内胸動脈心筋内植込み術後の吻合形成過程に関する実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 千種弘章, 久保克行
Authors(kana) :
Organization : 三重県立大学医学部胸部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 10
Page : 932-948
Year/Month : 1970 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 1946年Vineberg1)の提唱した内胸動脈心筋内植込み術に対して, Sones2)がX線学的評価を加えて以来その術式に再認識がなされ, 虚血性心疾患に対する多くの手術術式の中で, 現在最も脚光を浴びている術式といつて過言ではない. この内胸動脈心筋内植込み術の理論的根拠とするところは, 心筋にはMyocardial Sinusoidが存在し, 心筋内に植込まれた動脈の側孔から流出する血液は血腫を形成することなくMyocardial Sinusoidに注ぎ植込み動脈と冠循環系との吻合を形成するという仮説3)にもとづくものである. 1962年Sones2)が内胸動脈心筋内植込み術を行なつた患者に対して, 術後7年目に選択的内胸動脈造影を行ない, 植込み動脈と冠状動脈との吻合の発達を明らかにし, その後現在まで多くの研究者により, 臨床的あるいは実験的に追試が行なわれ, 選択的内胸動脈造影法や摘出心に造影剤溶液を注入して観察する超軟X線学的検索方法などによつて, 内胸動脈心筋内植込み術後における吻合の発達状況の検索, あるいは電磁流量計その他による内胸動脈内血流量の変化の追求など, 種々の面からの研究が発表されるに至つている. しかし, これらの研究の殆んどが吻合形成後の血流の状態を観察しているにすぎず, Myocardial Sinusoidの存在や, 内胸動脈心筋内植込み術直後から吻合形成までの短期間における植込み動脈からの血流の経路と実態に関しては, いまだ解明されていない現状である. そこで著者はこれらの問題の解決をはかるため, まず正常犬の冠状血管系の構築, とくに冠毛細血管の検索を行ないMyocardial Sinusoidの存在を検討し, ついで前下行枝を結紮して作製した虚血心に内胸動脈植込み術を行ない術直後から術後9週目まで経時的に植込み動脈との吻合形成の過程を, 主として形態学的に観察を行なつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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