アブストラクト(18巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大量出血輸血時における肺循環と肺換気力学の研究(とくに呼吸系粘性抵抗について)
Subtitle : 原著
Authors : 永井勲, 曲直部寿夫
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 10
Page : 949-961
Year/Month : 1970 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I. 緒言」 肺循環と肺換気力学との関係についての検討は, Christie1)が, うつ血性心疾患々者の肺圧縮率が低下していることを報告して以後, 肺弾性抵抗については, 多くの人々が, 心不全患者を対象として行なつているが, 呼吸系粘性抵抗との関係についての検討は, 比較的乏しい. この肺循環系は, 体循環のhigh pressure systemに対して, low pressure systemと云われ, 他のlow pressure systemと同様, 血液貯留槽として働いていると考えられる. すなわち体血液量の変動は, 当然肺内血液量を変動せしめ, 肺循環や肺換気力学にも影響することになると考えられる. しかるに, 体血液量の変動によつて生ずる変化およびその機構について系統的に研究されたものは少い. すなわち上述の如く, うつ血性心不全状態とうの比較的慢性変化のため, 他の因子が混入して検討が困難な場合や, 出血性ショック状態の如く, 比較的調節困難な状態での研究が多く, したがつて, その発生機転についても不明瞭である. 著者は, 犬を使用しての急性実験において, 右心房位で, 段階的な出血輪血を行なつた場合出血輸血量と肺換気力学との関係を検討し, とくに出血輸血量と呼吸抵抗とが極めて密接な規則正しい関係にあることを見出し, 呼吸抵抗が, 静脈側における体内血液量の変動の良い指標となすことができるのを知つたので報告する. 同時に体内血液量変動を段階的, かつ比較的急速に行なつた場合の呼吸抵抗のみならず, 他の因子も検討し, とくに自律神経の遮断剤を使用し, 体内血液量変動に伴う, 体内血液量分布の変動を誘発することによって出血輸血による呼吸抵抗の変化の発生機転の理論的な解明を試みた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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