アブストラクト(18巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における機械的溶血に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 唐沢弘文, 石井淳一
Authors(kana) :
Organization : 昭和大学医学部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 11
Page : 1024-1043
Year/Month : 1970 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第I章 緒言」 近年, 直視下心臓内手術の成績の向上は目覚ましい. これはあきらかに主として心内手術手技の長足の進歩に負うものであるが, 一方人工心肺装置による体外循環法は, ごくroutineな補助手段として広くうけいれられており, これについてはもはや重大な問題はないようにすら感じられる. 事実, 精密な自動制禦装置や, 種々のmonitoを具備した高級な機械が用いられている反面, きわめて簡単で多少の血球損傷など意に介しないdisposable bubble oxygenatorのような装置が, 血液節減そのほかの理由もあるにせよ, 急速に広く普及しつつあり, しかも前者に優るとも劣らない成績を示している. しかしながら, 体外循環そのものに起因する死亡も皆無とはいいきれず, 複雑で長時間を要する手術では, 体外循環自体による死亡を2.3%みこまねばならないともいわれる. 体外循環の生体におよぼす影響は多様で, これに関する研究もきわめて多いが, 最も簡単にとらえられる問題の一つに血球の損傷, なかんずく赤血球破壊・溶血がある. いかなる人工心肺を用いても, 多少とも血液の損傷は避けられないが1)2)3), 一般に気泡型人工肺に起こりやすい3)4)とされるほかに, 潅流量, 心腔内出血量の多少, 使用血液の性状, 装置充填液の種類など多くの関係因子があげられる. 血漿ヘモグロビンの高度の増量は, 腎機能に重大なる障害をあたえる3)5)6)7)8)9)10)11)12)13)14)ことはよく知られており, またほかの血液諸成分の破壊の尺度として, その原因および予防対策の研究はdisposable bubble oxygenatorの普及とも関係してますます重要と考えられる. 著者は, 実際の体外循環に使用される出血吸引回路を用いて, 機械的溶血におよぼす諸因子の影響を検討し, さらに動物実験, 臨床例の成績に若干の考察を加えた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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