アブストラクト(18巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 出血性ショックに対する高圧酸素療法の実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 川野辰夫, 赤倉一郎
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 8
Page : 775-793
Year/Month : 1970 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「1. 緒言」 近年出血に起因するショックに対する治療は長足の進歩をとげた. 歴史的にみると, 食塩水の輸液にはじまり, 輸血, 酸素吸入, 代用血漿の投与, 副腎皮質ホルモンの投与, 抗生物質の使用, 乳酸加リンゲル液の大量投与, 血管拡張剤の使用などにより, 出血性ショックの治療は完成に近づいたかに見えた. しかしながら, これらの治療の限界は, 出血性ショックによる低血圧の持続時間が一定時間を過ぎるとおこる不可逆性ショックには及ばず, この点では未解決の点が多く残されている. 著者は, 出血性ショックの本態は, 組織の酸素不足(hypoxia)であり, 従来の酸素投与でも改善し得ないhypoxiaを, より高濃度の酸素投与により改善できれば, これまで不可逆といわれた形の出血性ショックにも治療的手段が見出されるのではないかと考えた. 出血性ショックに対して, 高圧下に酸素を与えることは, 1960年代初期に, Attar, Blair, Cowleyらにより検討されている. 彼らの報告によれば, いずれも出血性ショックの低血圧期に高圧酸素療法を応用し, 好成績を得ている. しかしながら, 出血性ショックに対して血液量の補充以前に高圧酸素療法をおこなうのは, 治療面より見て非現実的である. 著者は, いわゆる不可逆性ショックにおちいる実験プログラムの上に出血をおこさせ, 還血した後に高圧酸素療法をおこないその効果を検討し, あわせて生理学的にいかなる影響を見出すかを目的として実験をおこなつた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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