アブストラクト(18巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺保存に関する基礎的研究
Subtitle : 原著
Authors : 山崎史朗, 赤倉一郎
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 8
Page : 794-801
Year/Month : 1970 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「はじめに」肺移植が腎や心などの移植に比しいちじるしく困難な理由として, 肺は機能的ならびに構造的にきわめて複雑な臓器であり, また免疫学的にも他の臓器とはちがつた反応を示しやすいことならびに手技の難しさ4)24)が挙げられる. 肺移植の実験的研究に関してはDenervationの影響を中心に機能面の研究が盛んに行なわれているが, 臨床応用を考えるときは当然ながら移植肺の保存についても研究を重ねる必要がある. 保存肺に関する諸研究はとりもなおさずその保存, 管理の方法につながつているのである. 移植する肺をその機能を可及的にそこなわないで保存するということは肺移植研究上最も重要な手続きである. Blumenstock6), Garzon11)らは4℃冷却・高圧酸素の併用により, Largiader17)らは冷却潅流によりそれぞれ24時間の保存が可能であつたと報告しているが, 文献的には今日までのところこれらが最長の保存時間である. 屍体肺の使用に際して死後どの位の時間まで放置してあつてもその肺は移植肺としてのviabilityを失わずによく機能を保持し得るか, またいかなる方法で保存した肺が移植された時に最も良く生着し機能を回復し得るかを知るためには, それらの肺を実際に移植してみるのが最も手近な方法である. 今日までに報告されている研究1)6)11)13)15)17)23)の多くがこの方法をとつているが, 保存肺が移植される時点でどの程度の機能を有しているかについては十分な検討がなされていない. 保存肺の機能を検べる方法の1つとして摘出肺について潅流3)9)22)23)26)下肺機能検査をおこなうことが考えられるが潅流条件が複雑であり, 短時間の潅流で肺水腫が出現するため潅流下における保存肺の機能を正確に評価するには多くの工夫が必要である. 著者は室温放置肺および冷却保存肺の機能を知ることを目的として, 屍体胸腔内室温放置肺ならびに摘出肺の静的圧量曲線を測定し, 室温放置肺ならびに冷却保存肺についてそれぞれの環境が肺の機械的特性におよぼす影響について若干の知見を得たので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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