アブストラクト(18巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環における心筋代謝の臨床的研究-とくに上行大動脈単純遮断法および人為心室細動法の安全限界について-
Subtitle : 原著
Authors : 野沢達郎, 赤倉一郎
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 18
Number : 9
Page : 884-892
Year/Month : 1970 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「はじめに」体外循環下に開心術を行なう際, 慶大外科においては先天性心疾患では上行大動脈単純遮断(anoxic arrest), 僧帽弁疾患では人為心室細動法, 大動脈弁疾患では冠動脈潅流法を行なつている. これらは良好な心内手術野を得るために不可欠の手段であり, 一般にひろく用いられているにも拘らず, その至適潅流温度, 1回遮断の安全限界, 反復遮断を行なうときの間隔, 原疾患の重症度との関係などについて明確にされていない. ヒトの心臓はかなり生理的余力の大きい臓器であるから, ある程度の時間内で無酸素状態によく耐えることは確かであり, 常温潅流下に30分~40分の上行大動脈単純遮断を行なつても, 心搏動がよく回復することを心臓外科医は臨床的にしばしば経験している. しかしたまたまある例で何分遮断して大丈夫であつたということと, それが十分安全限界内にあつたかどうかということは, はつきり区別して考えねばならないとわれわれは考えている. 心臓外科において日常ひろく用いねばならぬ手技である以上, 客観的指標にもとづいてその安全限界を明白にし, これに基づいて臨床をすすめていかねばならない. 上行大動脈単純遮断法, 人為心室細動法の安全限界をしらべるためには, 生化学的方法, 血行力学的方法, 病理学的方法の3つが考えられる. 著者は臨床例について第1の方法, すなわち動脈, 冠静脈血の生化学的検索を行ない, これらの手技の心筋代謝におよぼす影響を検討したので, これについて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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