アブストラクト(19巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 拘束性障害をともなう肺結核症の拡散能分布について
Subtitle : 原著
Authors : 井村价雄, 綿貫重雄, 塩沢正俊*
Authors(kana) :
Organization : 千葉大学医学部第1外科教室, *結核予防会結核研究所附属療養所
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 1
Page : 12-24
Year/Month : 1971 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」肺の終局の目的であるガス交換機能を把握する手段として, 肺拡散能力の測定が行なわれて1)2)すでに久しいが, 測定値にかんする臨床的意義については今もつて未解決の問題点が少なくない. 肺拡散能力は(1)個々の肺胞膜を通しての質的な拡散状態と, (2)肺胞膜の量的な拡散面積とが綜合された表現であるから, 後者の因子となる肺胞気量, 肺胞換気量の変化は, それ自体, 拡散能力の測定値を左右する. また肺全体としては, (2)の因子の減少がその性質によつては種々の程度で(1)の因子の代償的増大を誘う可能性も考えられる. 一方, 肺胞換気量は正常肺においても肺内各部に均等でないことが古くから知られており3)4), ことに拘束性障害例においてはその程度が増大する傾向が認められている5). この事実から拘束性障害においては, 肺気量減少に加え, 肺胞換気量の不均等分布出現により, 肺拡散能力の測定値は大きく影響されることが想像に難くない. とくに肺胞換気不良部における拡散能力の態度は, 病変の性質と関連するだけに重大な関心事であり, その異常の分折は測定値の低下が病変そのものの反映であるか, 単に方法論的な産物であるかの鑑別に資する重要な知見を与えると思われる. また拡散能力の肺分布も均等でないことはすでに知られているが6)~8), その不均等化の肺胞換気の不均等化といかなる関係にあるかを個々の例について追究することは, 肺拡散状態の異常をより鋭敏に指摘し, 同時に従来の拡散能力の測定値の解決を一そう深めるものと考えられる. 以上のごとき観点から, 著者は拘束性障害例を対象とし, 換気良好部, 不良部におけるCO拡散能力を分離測定した. それぞれの測定値を正常例との比較において論ずるとともに, 肺胞気量, 肺胞換気量との関係を見究めることにより, 拘束性障害における拡散異常を質的, 量的な面から分析することに努めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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