アブストラクト(19巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環時の胸管リンパ流に関する実験的研究-とくに胸管リンパの態度よりみた末梢循環の検討-
Subtitle : 原著
Authors : 宮本満之, 綿貫哲
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学第1外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 2
Page : 89-111
Year/Month : 1971 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第1章 緒言」 Gibbon(1953)によりはじめて臨床応用された体外循環はその後の改良工夫にもかかわらずいまだ完全とはいいがたく, あくまで病的循環動態である31). 1960年頃より稀釈体外循環の概念が導入され内外で盛んに行なわれるようになつたが, 現在まで血液稀釈には低分子デキストラン23)40)53)68)94)(以下LMWDと略す), 5%糖19)89)90), リンゲル63)など101)が用いられそれぞれの利害が論ぜられている. それらに共通していることは血液稀釈すなわち血液粘度低下による末梢循環の改善69)71), 血液緩衝能低下の面から考慮されなければならない稀釈率の問題である. しかし同稀釈率の体外循環でも稀釈液の種類により, 血管外水分漏出, 組織間腔での循環などそれぞれ運命がことなり, 体外循環運営上稀釈液の性状も当然考慮されなければならない. 体外循環のごとき異常循環動態の究明には全血管床の90%をしめるといわれる微細循環系の研究が重要で, 現在まで顕微鏡による腸間膜, 粘膜, 結膜毛細管血流の観察52), 動静脈圧の変化や血液諸変化よりの推測, 同位元素による体液動態の追求38)91)などの方法で行なわれてきた. 一方リンパ管系が生体の恒常性維特にはたす役割が認識され54), 種々の異常循環時の動態がリンパ流の面から観察されるようになり, 末梢血行, 毛細管透過性, 組織の体液循環の研究に役立てられてきた. しかし体外循環時のリンパ循環の研究は, Baue10), 河村ら92)の2, 3にとどまり, とくにLMWDによる稀釈体外循環時のリンパ流の動態を系統的に記述した論文は殆んどない. 近時ますます心手術適応の拡大により長時間体外循環の要請がたかまつてきており, したがつて比較的長時間の血漿増量作用をもちしかも末梢循環を特異的に改善し, 末梢血流増加作用をもつLMWD6)13)28)29)32)-35)37)(平均分子量40.000)による稀釈体外循環は重要である. そこで著者はLMWD稀釈体外循環時の末梢循環時の末梢循環の一端を主として胸管リンパ循環の面よる考察すべく実験を行ない多少の知見を得たので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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