アブストラクト(19巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心室中隔欠損症の術前および術後心電図と血行動態との関連
Subtitle : 原著
Authors : 谷口博道, 曲直部寿夫
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 2
Page : 126-140
Year/Month : 1971 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I 緒言」 心室中隔欠損症(VSD)の心電図に関しては多くの報告が見られるが, なお一致した見解は見られない. Taussig1)は本症の心電図所見の診断的価値は低いとし, Carlotti12)は心房中隔欠損症の心電図所見と同じであると考えた. また, Char3)は心電図所見と循環動態および肺組織所見との間には粗な関係しか認められず, VSDの定型的なpatternは存在しないと発表した. これに対し, Marsico4)はCabrera5)の説によつて重要な心電図所見は右室の収縮期負荷と左室の拡張期負荷であり, Qv6は左室の拡張期負荷を示すと述べた. Hubbard6), 佐藤7)もVSDの心電図と血行動態を対比し, 両者の間に相関のあることを認めた. また, Toscano-Barbosa8)は, 欠損孔が右室の流入路にある時はv1で右室の拡張期負荷のpatternが表われ, 流出路にある時はv1で右室の収縮期負荷のpatternが表われると報告した. J.LasserおよびR.Lasser9)は心電図に左室肥大および左室拡張期負荷のpatternが見られる場合は肺動脈圧の上昇は中等度にとどまり, 心電図が血行動態の評価の指針になり得ると述べた. Du Shane10)はVSDの手術適応および予後は肺動脈圧それ自身に関係があるのではなく, 肺血流量の増加が第一義的因子であるとし, 左室負荷の心電図所見を重視してその肥大基準を設定した. Vince11)も同様の見解から左室負荷の心電図基準を発表している. このように, 心電図と血行動態の関連性についての意見はさまざまである. さらに術後の心電図変化と血行動態の対比についての詳細な報告は見られず, ただ一般的な傾向として取上げられているにすぎない. この研究においては, VSDの心電図所見と肺動脈圧, 肺血流量およびこれらを規制する肺血管抵抗との関連性について解明するとともに欠損孔の閉鎖による血行動態の変化と心電図所見の推移について検討した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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