アブストラクト(19巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性虚血性心に対するHydrogen Peroxideの心嚢内潅流効果
Subtitle : 原著
Authors : 村上和彦, 高橋雅俊
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科学教室第2講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 6
Page : 487-497
Year/Month : 1971 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「第I章 緒言ならびに文献的考察」 虚血性心疾患は冠血流量と心筋の酸素需要との不均衡に起因する心筋虚血であるが, その多くは動脈硬化による冠動脈狭窄, 血栓形成, さらには冠動脈閉塞によつて招来される. 心筋の虚血状態が質的, 量的に強度な場合はしばしば致命的な結果を招くことがある. このような場合に心機能の面では, 心収縮力の減少や非可逆的不整脈の出現によつてlow output failureに移行する危険が大きい. このような虚血性心疾患に対して薬物的, 観血的療法がよく行なわれて来たが, 血管の狭窄や閉塞のみられる虚血心に対して迅速な酸素補給を行なうことは, 急性心不全や術後早期の心筋anoxiaに対処するために極めて重要なことである. 著者はこのような観点からHydrogen peroxideによるepicardial perfusionの効果について研究を行なつた. すなわちHydrogen peroxide(以下H2O2と略す)が酸化酵素の存在のもとにおいては多量の酸素が発生することに着目し, この酸素が心外膜を通じて虚血性心筋に利用されるか否かについて基礎実験を行ない, 臨床応用への可能性を追求し, さらに臨床例に対するH2O2の潅流効果について検討を行なつた. 虚血性心疾患に対する治療法の変遷をみると, 薬物療法以外に種々の方法が古くから行なわれて来た. すなわち冠動脈支配神経節である上胸部交感神経節切除術がJonnesco1)(1920)らにより行なわれた. 一方副血行路を期待するいわゆる間接法として, O'shaughnessy2)(1936)らの大網心膜癒着術, Beck3)(1929), Tompson4)(1939), らの心膜心筋間癒着術, Key5)(1954)らの有茎小腸移植法, Moran6)(1952)らの皮膚弁心筋癒着術, Harken7)(1955)らの肺心筋癒着術があり, またVineberg8)(1945)らの内胸動脈の心筋内移植術, Beck9)II法(1948), Garamella10)(1954), 二宮11)らによる脾臓の心筋への自家移植, Goldman12)(1956)らによる心筋内動脈片移植法, Massimo13)(1957)らの心筋内プラスチック移植法, Sabiston14)(1957), Fuquay1,5)(1957)らの内頚動脈, 鎖骨下動脈の心筋内移植法などが報告されている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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