アブストラクト(19巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺高血圧症をともなった心室中隔欠損症
Subtitle : 原著
Authors : 高野良介, 榊原仟
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医大日本心臓血圧研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 7
Page : 579-590
Year/Month : 1971 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「緒言」心室中隔欠損症は先天性心疾患のうちでも最も頻度の高い疾患である. 1954年, Baileyは低体温法を用いて, 始めて当疾患の根治手術に成功し, わが国では, 1955年, 榊原, 木本, 小沢らにより, 殆んど同時に手術成功例が報告されている. 以来多くの研究が行なわれ, 今日では最も安全で治療効果の確実な手術方法のひとつになつている. しかし肺高血圧のため右→左短絡の起つている症例については, いまだに問題が多く, 一応手術はうまくいつても術後に肺合併症を起したり, 肺高血圧症が進行して右心不全を起したりして死亡する症例が多かつた. 1967年3月までの当研究所における死亡率は33%であつた. しかし最近の3年間には術後管理の組織化, 呼吸管理, 人工心肺の安定化などに地道な改良が加えられた結果, 肺高血圧症を伴つた心室中隔欠損症の死亡率は18%に減少した. 改良点のひとつひとつは画期的ななものとは言えないが, これら地味な研究が積み重なつてわずか3年間に死亡率を半減させるといつた目ざましい成果をあげることができた. 手術成績改善のあとをふりかえつて, ひとつひとつの改良点を検討し, 新しく拡大された手術適応の範囲を示すことは, 臨床的に価値は高く, またわれわれの義務でもあると考える. ひとりでも多くの患者が救われることを願つて, ここに日本心臓血圧研究所における当疾患の手術症例を詳しく記載し, 術後合併症について検討を加え, 反省と改良点とを明確にし, 新しい治療指針と手術適応とを公にする.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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