アブストラクト(19巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓ペースメーカー装着時における心房収縮の心機能におよぼす影響に関する研究
Subtitle : 原著
Authors : 田中茂夫, 斉藤昊, 庄司佑助
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 19
Number : 7
Page : 591-612
Year/Month : 1971 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 「I. 緒言」 1952年Zoll1)が体表電極による体外式ペースメーカーをAdams-Stokes発作に対し使用して以来ペースメーカーは種々の開発と改良がなされ, 今日では完全房室ブロックの治療法として最も確実な方法とされるようになつた. ペースメーカーの第1の目的は房室ブロックにともなうAdams-Stokes発作に対する予防であり, 第2に心拍数増加による血行動態の改善にある. 心拍停止や一過性心室細動で起るAdams-Stokes発作に対しては, ペースメーカーが安定した心拍を維持し, その発作を予防し, さらに房室ブロックにおける心拍出量の減少に対しては心拍数を増加させることにより種々の好結果をあげていることはいうまでもない. しかしながら, 心室刺激によつて一定間隔で一定数の心拍を発生させている限り心室収縮数の増加はみるものの房室ブロックに関しては本質的な改善をもたらすものではあり得ず, 房室解離は依然として存在するものである. 心房収縮の血行動態におよぼす影響については以前から多くの研究2)3)4)がなされているが, 要するに房室解離においては全ての心室収縮に対し心房収縮が生理的間隔をもつて先行するとはかぎらないため, 各心室収縮に動揺を生じ, したがつて心室刺激による心拍数増加時の血行動態にも自ずと非生理的な面を生ずる. この様な房室解離による血行動態の不利な点を解決するためにNathan2)らにより, P波同期型ペースメーカーが開発されているが, いまだに電子回路の複雑さや心房細動の際に発生する不整脈の問題など, 満足すべきものは得られない, と同時にその基礎的問題に関しても未解決の点が多く, ことに本邦においては従来この種の研究は少ない. 著者は心臓ペーシングの際の心房収縮の心機能におよぼす影響を検討する目的にて徐脈犬を作成, 心房および心室刺激による血行動態の比較検討をおこない, 加えて完全房室解離, 完全洞房ブロックに対し心房刺激および心室刺激を試み, その血行動態を比較検討し, さらに完全房室ブロック例に心室刺激をおこないその1例において心房・心室収縮の時間差(P.R間隔)の心機能におよぼす影響を種々脈拍数において詳細に検討した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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