アブストラクト(20巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 自然気胸の心肺機能におよぼす影響に関する臨床的および実験的研究
Subtitle : 原著
Authors : 新野晃敏, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第二外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 20
Number : 1
Page : 6-23
Year/Month : 1972 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近自然気胸の症例が著明に増加して来ているが, その心肺機能とくに急性期の心肺動態に関する検索報告は少なく, しかも2, 3の文献を除けば, いずれも虚脱肺の肺血管抵抗は上昇し, 肺血流量は減少するとしている. 反対に虚脱肺は血流に対する抵抗が少なく正常肺よりも多くの血流が流れる, と主張している学者もいるが, 虚脱の程度や時間的な経過との関連については言及していない. そこで著者はそれらを究明するために, 自然気胸例45例の心肺機能と雑種成犬36頭を用いて実験的に作成した急性肺虚脱時の心肺動態を検索した結果, 急性肺虚脱時の心肺動態は虚脱の程度のみならず, 虚脱発生後の時間によっても左右されることをつきとめたので報告する. すなわち, 高度虚脱例では虚脱直後より肺血管抵抗の上昇と肺血流量の減少が認められ, 経時的にもその傾向は変らないが, 一方軽度ないし中等度虚脱例では虚脱後肺血管抵抗が減少し肺血流量の増加する時期のあることが判明した. このように急性肺虚脱時の心肺動態は高度例と軽度ないし中等度例では異なるが, 経時的にみるといずれも血液ガス所見その他で漸次改善されていることが示される. このことは虚脱肺のVasoconstrictionと対側肺の予備能力(高度虚脱例では主として後者のみ)によって, 肺全体としての換気, 血流のアンバランスが是正されつつあることを示すものと考える. 以上のことから著者は, 急性肺虚脱時の心肺動態は従来の報告にあるような一律的なものではなく, 肺虚脱の程度, 時間的因子, 対側肺の予備能力などによって左右されると主張したい.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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