Abstract : |
「第1章 緒言」食道癌の外科的治療は1913年Torek1)が世界ではじめて牽出法で胸部食道癌の切除に成功し13年の長期生存例をえたのにはじまる. 以来内外外科医の努力, 近代麻酔学の進歩, 抗生物質の発達, 術後管理の進歩により, 切除成績は近年いちじるしく向上し, 1960年以後本邦においても全国の病院で広く行なわれるようになったが, その遠隔成績は低く, いまだ満足すべき状態ではない2)~25). 中山は1958年以来, 術前照射療法を併用することにより, 局所の根治性をたかめ, 手術適応の拡大と遠隔成績の向上を報告してきている26)~30). 近年コバルト大量照射や超高圧放射能治療法が行なわれるようになり, 深部線量の増加, 皮膚障害の減少, 回転照射法の併用などにより, 放射線治療のみによる食道癌の治療成績もかなりよくなったが, 5年生存率は7%以下であり31)74)~76), 手術例の5年生存率12.5%18)に比して劣っている. 一方小林32)は上中部食道癌の2,000~3,000R, 10~14日間の術前照射例につき検討し, 遠隔成績ならびに手術適応の拡大が明らかであると述べている. |