アブストラクト(20巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 選択的冠動脈造影法の心筋に及ぼす影響に関する血清酵素学的研究
Subtitle : 原著
Authors : 長谷川隆光, 宮本忍
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第二外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 20
Number : 8
Page : 674-682
Year/Month : 1972 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 選択的冠動脈造影法の安全性を検討するために, Glutamic oxalacetic transaminase(GOT), Glutamic pyruvic transaminase(GPT), Lactic dehydrogenase(LDH), LDH Isoenzyme, Creatine phosphokinase(CPK)を造影前後に測定した. 対象は, 選択的冠動脈造影像上1枝以上, 50%以上の狭窄を示す症例9例(A-1群), 選択的冠動脈造影像上狭窄が50%以下の症例7例(A-2群), 虚血性心疾患をともなわない心疾患10例(B群)の26例である. 選択的冠動脈造影後の血清酵素活性値の変動は, 各群ともLDH, LDH Isoenzyme pattern GPTで正常範囲内の変動にとどまっていた. GOTは, A-1群, A-2群各2例に造影後第1日目に異常値を示していた. CPKは, 選択的冠動脈造影後第1日目に測定した全例で上昇を認めた. 選択的冠動脈造影法による合併症は, 心室細動を2例(7%)に認めたが, Countershockにて洞調律に回復した. 造影後の血清酵素活性値はGOT, LDH, GPTに著明な変化はなく, LDH Isoenzyme patternでLDH4, LDH5の上昇を認めた. 血清酵素の上昇は, 造影剤注入による細胞膜透過性の亢進のためと思われる. 血清酵素学的見地から, 選択的冠動脈造影法は安全である, との結論をえた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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