Authors : |
増田与, 中橋正明, 小谷澄夫, 小西忠司, 石井哲秀, 宮本勇, 勝田宏重, 野々山明, 香川輝正 |
Abstract : |
心室中隔欠損症(以下VSDと略する)と僧帽弁膜症(MVDと略する)との合併は, 修正大血管転位および心内膜床欠損症の場合を除いては, 先天性, 後天性の別なく比較的稀とされているが, 一方, VSDに伴う左室肥大拡張の結果としての弁輪拡大による機能的な僧帽弁閉鎖不全(MIと略する)はむしろかなりの頻度に. 存在するのではないかと示唆する論者1)もある. いずれにせよ, 文献的には両者の合併の記載にとぼしい. 私たちは昭和40年以降46年10月までに手術されたVSD 101例中の2例(2%)にMVDの合併を認め, 両例ともに欠損孔閉鎖と同時に人工骨置換によるMVDの治療を行なったが, それ以外のVSD若干例においても症状を呈するには至らない程度ながらMIの存在を確認している. 以下, 2例の合併手術例の経験を報告するとともに, 機能的MIをも含めてVSDにおけるMVDの合併についてその機序, 臨床的意義, 治療などの諸問題に関して考察を加えたいと思う. |