Abstract : |
43例の開心術症例に対し指尖容積脈波を術後2週間まで経時的に観察し, その脈波の推移を検討するとともに, 脈波と色素稀釈法により求めた心拍出量などの心機能ならびに末梢循環の状態などとの関係を追求し, 脈波の開心術後の患者管理における有意性について検討した. 結果および結論は次のごとくであった. 1)開心術後の脈波形の変化の様式を4型に分類した. 術後全経過中脈波に異常を認めないA型および術後一過性に拡張波を認めるB型では術後の経過は良好で, ASDおよびVSDの軽症例に認められた. また, C型およびD型はいずれも術後早期にプラトー波を示すもので, 術後3日後に拡張波を呈するものをC型, 異常拡張波(切痕が基線にまで低下している脈波)を呈すものをD型と分類した. これらはVSD+PH, TOFおよび人工弁置換術症例など重症例にみられた. とくにD型を呈すものでは著明な心拍出量の低下を伴っている重篤なもので, 積極的に心機能を回復させるよう努力する必要がある. 2)異常拡張波は心拍出量の低下に末梢血管の拡張を伴っている時に認められた. 3)心性プラトー波にはIsoproterenolの投与により, 末梢性プラトー波にはTriflupromazinの投与により脈波の改善をみた. 4)開心術後の脈波高は心拍出量と必ずしも相関を示さないが, 時間因子(up-stroke time, ejection time etc. )は心拍出量と相関を示した. 以上から, 指尖容積脈波はきわめて簡単な検査法であるにかかわらず, 開心術後の刻々と変化する心機能ならびに末梢循環の状態を早期に知ることが可能であり術後管理に非常に有用な方法であると考える. |