アブストラクト(21巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 組織弁移植の研究 ―異種弁移植の実験的研究および臨床応用新鮮自家広筋膜弁移植の実験的研究―
Subtitle : 原著
Authors : 塩野恒夫, 杉江三郎
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 1
Page : 13-31
Year/Month : 1973 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 組織弁として入手が容易である異種大動脈弁を使用し, 各種消毒保存法による組織の変化および物性試験, Electron beamによる消毒効果, 動物移植実験, 臨床使用を行ない, さらに新鮮自家広筋膜を組織弁材質として物性試験, 弁作製法, 動物移植実験を行なった. Electron beamの消毒効果は異種弁に対して2.0 Mradの照射により十分な効果を認めた. 各消毒保存法による異種弁の組織学的変化はBPL凍結, エタノール弁, ホルマリン弁に間結質合織の収縮傾向がみられたが, 抗生物質添加4℃ Hanks液保存弁では消毒保存法による変化は軽微である. 各消毒保存法による異種弁の最大荷重および伸び率では, 最大荷重においてBPL弁, BPL後凍結弁が各々20%, 17%の低下を示した. 伸び率はエタノール弁, ホルマリン弁が高い値を示した. 異種大動脈弁移植の実験的研究を行ない最長24ヵ月の観察犬を得た. エタノール弁はeosinで均一に染まるようになり, 弁尖の吸収傾向がみられた. ホルマリン弁は膠原線維を中心とする変性がみられた. 異種エタノール弁の臨床応用を僧帽弁移植4例, 大動脈弁移植2例, 合計6例に施行し, 2例が3年, 2年8ヵ月生存し, 経過観察中である. 組織学的変化では弁尖はacellularとなり, 間隙形成および線維の断裂がみられた. 宿主よりの線維細胞の伸びは弁尖起始部に達するのみである. 新鮮自家広筋膜の強度は大動脈弁よりも高い値を示した. supprt ringを使用し, 三弁尖を有する新鮮自家広筋膜弁の作製法を考案し, 動物移植実験を行なった. 術後早期では弁尖の肥厚, 浮腫状態がみられたが広筋膜の構造は比較的良く保存されていた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 北海道大学医学部第2外科学教室
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