アブストラクト(21巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 不全心および心筋乏血部に対するArterio-Arterial Counterpulsationの影響
Subtitle : 原著
Authors : 湯川元資, 北野一郎, 和田寿郎
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科学講座
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 21
Number : 1
Page : 40-53
Year/Month : 1973 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 補助循環法の1つとして開発された両側大腿動脈を用いるCounterpulsation法が, 乏血性不全心を有する生体に補助循環効果を有するのか, そして乏血心筋部位にいかなる効果があるのか, を検討するためにSIMASを使用して実験した. 最大ポンプ吸引量を1回ポンプ駆出量とする駆動法を, 冠動脈多重結紮により作製した不全心を有する11頭の雑種犬に施行した. 2時間のポンプ駆動により最大ポンプ吸引量は初期量の平均70%になった. 一方, 対照として冠動脈結紮後2時間放置した11頭の雑種犬と生存時間にて比較して, 2時間ポンプ駆動した群における生存時間の延長は認められなかった. 次に, 8頭の雑種犬の心尖部に直径3cmの乏血部を作製し, 心収縮期血圧を低下させないで拡張期圧のみを選択に上昇させる駆動法を施行した. 2時間のポンプ駆動後, 大動脈内に墨汁を注入した. 乏血部心筋の心外膜下から心内膜までのすべての筋束内にかける40μ以下の細動脈に墨汁を認めた. 一方, 2時間ポンプの駆動に行なわずに放置した5頭においては, 乏血部筋内に墨汁を認めなかった. 以上のことより, 最大ポンプ吸引量を1回ポンプ駆出量とする両側大腿動脈Counterpulsationの2時間の施行には, 実験的に作製した不全心を有する生体に対し, 補助循環としての効果はないが, 大動脈拡張期圧のみを上昇させる駆動法には, 雑種犬に作製した急性乏血性心筋部位に血流を再開させる効果があると結論した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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