Abstract : |
「はじめに」食道癌の治療は最近ひろく行なわれるようになり, 高年者の症例でも積極的に手術の対象とされるようになってきた1)2)3)4). しかしながら, 高年者の外科療法は若年者に比較して, しばしば, 困難な場面に遭遇することも事実である. とくに食道癌の外科療法では, 術前から栄養状態の低下しているものに, 開胸, 開腹という大きな手術侵襲を加えるため, 術後合併症も高率に発生し, 手術死亡も多い. したがって, 食道癌の外科療法が, 高年者に対しても, 安全に行ないうるか否かを検討する場合に, 多くの問題点を提起するものと思われる. 今回私共は, 高年者食道癌の自験例を検討したので報告する. 「手術成績」昭和43年6月から昭和47年8月までの4年間余において, 私どものあつかった食道噴門癌症例は21例である. これらを年代別に分類してみると, 70才代が7例あり, 他の年代に比して多かった. 70才以上の症例は, 38%であった. 年令別の切除率は70才未満の症例では38%であったが, 70才以上の高年者においては62%であり, 高年者といえども積極的に切除手術を行なった. |